【本の感想】イーユン・リー『黄金の少年、エメラルドの少女』



イーユン・リー『黄金の少年、エメラルドの少女』


代理母問題を扱った衝撃の話題作「獄」、心を閉ざした四十代の女性の追憶「優しさ」、
愛と孤独を静かに描く表題作など、いずれも現代中国のさまざまな社会問題を背景に、
深い失望や喪失に苦しむ人々の心もようが切々と伝わる珠玉の短篇九篇。
この一冊でリーは「短篇の名手」としての名声を確立した。O・ヘンリー賞受賞作二篇収録。



相変わらずいい!
訳もいいのだと思う。


一番おもしろかったのは、『獄』。
16歳の一人娘を事故で失った中国在住の中国人夫妻が、
中国で代理母を使ってもう一人子どもを授かろうとする。
その面接から始まって、代理母の妊娠、なんと双子であること、
代理母の過去が明らかになって、あっという間に話に引き込まれる。
二人が仲良くなる過程がよかったけど、最終的な結果をみれば、
やっぱり利用する側とされる側、その壁はなくなるわけがなかった。


作者の大学時代の軍での体験を書いているであろう、
『優しさ』もおもしろかった。軍での生活が興味深かった。


短編集の表題となっている、『黄金の少年、エメラルドの少女』は大学教授と、
その息子、教授の教え子の女性の3人を書いていて、3人がこれから
どういう関係を作っていくのか、たぶん静かだろうけど、思いやりのある生活を
していくのだろうと思うと、なんだかジーンとくる。
この短編は、ウィリアム・トレバーの『The Three』という物語と語り合っているという。
そっちも読んでみなければ…。


外国のことがわかるお話がおもしろいのかなーと思って、
この前、ナム・リーという人の『ボート』という本も読んでみた。
この人は、生後3か月のときに、ベトナムからボートピープルとして
オーストラリアに渡って来た人。


でもこれは、大変読みにくくて、おもしろくなかった。
話がいけないのか、訳がいけないのか、わからなかった。
それか私に知識が足りなくて何が言いたいのかわからない、ということなのか…。


表題作の『ボート』はなかなか興味深かった。
16歳の少女が単身、といっても15人乗りのボートに200人乗って、
ベトナムからオーストラリア(だったかしら?)を目指すその道中を書いたお話。
船の中で、若い母親と少年と仲良くなる。
船が難破し、何日も海をさまよう中、命がいくつも奪われていく。
ただ、その、実は私、狭いところに閉じ込められたらトイレをどうするのかがすごく気になる。
匂いがひどいことは描いてあるのだけど、じゃあ実際主人公はどうしたんだろう、
という疑問点が残ってしまった。
エレベーターに閉じ込められたらどうしよう、と時々考えるもので…。
人がたくさん死んでいるのに、きれいすぎるのだよね…。


ほかには、日本のヒロシマを舞台にした話やイランが舞台の話もあった。
どれもいまいち、ピンとこなかった。
視点が合わないのかもしれない。







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