【本】『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』

先日、娘を美容院に連れていくときに、「本を忘れた!」と娘が言い出した。
娘はひまな時間は常に何か読んでいないと気が済まないタイプで、
ちょうどそのとき私がカバンに入れておいた、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を渡した。


この本が出たころに読んだことがあったけど、内容をすっかり忘れてて、
でもまた急に読みたくなって古本屋さんで見つけたときに買ったのだった。


「けっこうおもしろい」と娘は言って、その後何日かで読み終わった。
私のほうはなにやら忙しくしてて、なんとなく読みそびれていたのが、
先日長く電車に乗る用事があったので読んでみて、
びっくりした。


このお話は、ロシア語翻訳・通訳家の米原万里が、10歳から14歳まで、
までチェコスロバキアのプラハにあった、ロシア語学校に通っていた時期の仲のよかった
友達3人を訪ねる話なのだが、その最初に出てきた友達、リッツァは、2歳年上の
モテモテの兄の影響もあって早熟で男女間のことをよく知っていて(実際は耳年増な
だけだったと30年後にわかるのだけど)、マリに、性教育を施すのだ。


その性教育というのがすごく直接的なのだ。
そこから話が始まるので、まあ、娘にとっても、すごく興味深かったろうな…と納得。
最初、「なんつーものを娘に読ませたんだ!」と思ったけど、今となっては
よかったと思う。偶然にしてはなかなか。


そんな感じで読み始めたんだけど、すっかり忘れてたけど、これ、すごくよかった。
リッツァは亡命してきていたギリシャ人の娘で、30年後はドイツで医者になっていた。
勉強が全然できず、「映画女優になって男と寝まくる」、と言っていたのが、
「男は顔じゃない。優しいのが一番」と言って優しそうな男の人と一緒になっていた。


アーニャは、ルーマニア人で、チャウシェスク時代からの政府の要人の
娘だったのだけど、イギリス人と結婚して、完璧に話せたロシア語が
たどたどしくなっていた。
ルーマニアは外国人との結婚を禁止していて、でも娘を国外に出したいと
思っていた両親は、チャウシェスクに直にお願いをしたようだ。


そして一番仲のよかったヤスミンカは、当時はユーゴスラビア人としてしか
認識してなかったけど、実は、ボスニア・ムスリム人で、
お父さんはボスニアの最後の大統領を務めたそうで、
水道も電気もないサラエボから離れない、と父はその地にとどまり、
ヤスミンカはセルビア人の多いベオグラードに住んでいて、
「空気になりたい」と言っていた。


セルビア人とボスニア人が殺し合いをするようになって、
親友とも口がきけなくなり、仕事もそれでやめたそうだ。
自分自身はイスラム教徒でもなく、「ボスニア・ムスリム人」ではなく
「ユーゴスラビア人」だと思っていたというのに。
そうやって、人間関係がたちまち壊れていったそうだ。


その後、この3人はどうなったのだろうと思う。
米原万里は2006年に亡くなっている。
平和な日本で、56歳という若さで亡くなってしまって、
きっとこの3人も涙したことだと思う。






テレビ番組になっていて、これをもとに本を書いたそう。






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コメント

No title

米原万里さんの「嘘つき・・・」は面白かった。世界心の旅は見たことがなく、この本が書かれる契機になたことだけは聞いていたので、とても見たかった。
このブログで紹介してくださったので、その念願がかなった。
ありがとうございます。

2016/01/06 (Wed) 21:50 | きなこ #- | URL | 編集
Re: No title

きなこさん、

よかったです。
番組だけじゃ、全然わからないことが本に書いてありましたね。
すっかり忘れてたので、読み返すことができて、
ついでに娘に読ませることもできてよかったです。


2016/01/17 (Sun) 21:37 | Fumie #- | URL | 編集

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